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お豆 from fanbox
お豆

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Skeb依頼品 あらすじ:精霊の力を取り戻す研究の過程で偶然反転体である白の女王を呼び出してしまった狂三。思いの外協力的だった反転体と話し合い、次は士道から霊力を貰うことを計画するのだった。                                                                                                                                                                                                             とある日、五河士道はこれまでも何度か訪れたことのある、時崎狂三の家へやって来ていた。  いや、正確に言うならば――連れて来られた、だ。  士道はいつも通り自宅で過ごしていたのだが、突然底なしの穴に落下したような感覚に襲われ、真っ暗な空間に囚われてしまったのだ。  そして、その空間から開放されたかと思うと、そこは狂三の自宅だった。 「な、なんのつもりなんだよ狂三! それにお前、その姿は……」  士道は眼の前に立つ、自分を拉致したであろう少女に戸惑いながら尋ねる。  狂三は怪しい笑みを携えながら、困惑する士道に恭しく頭を下げた。 「こんにちは士道さん。少々用事があって我が家へ招かせていただきましたわ」 「用事って……いや、それよりもお前、もしかして……精霊の力を取り戻したのか!?」  先ほどの士道を影の中へと連れ込んだ能力。そして今、狂三が身に纏う衣服は、精霊の姿を彩るドレスにして堅牢な城、霊力によって編まれた衣、霊装に間違いなかった。  赤黒いゴシックロリータ調の霊装を着た狂三を見るのは久しぶりで、感慨深い気持ちもあるが、霊装も影を操る力も、本来は既に消失した力のはずだ。 「ええ、まぁ。士道さんに以前お話した、精霊の研究が上手くいきましてね。こうして力を取り戻すことが出来た、というわけですわ」 「そう、なのか……? それは……いや、でも……」  精霊の存在が世界から消失した後も、狂三が魔術師の技術を引き継いで研究を続けていることは聞いていた。  その努力が実を結んだことは凄いと思うのだが、その力の危険性もよく知る士道は安易に喜んでいいのか分からなかった。  それに、気になることはもう一つある。 「狂三、その子は誰だ……?」  士道は狂三の後ろに控えるもう一人の少女へ視線を移す。  真っ白な髪をツインテールに結んだ、真っ白な軍服を着る少女。黒を基調とした狂三と正反対のカラーでありながら、その顔は双子を疑う程に狂三とそっくりだった。  その少女が、先程から狂三の後ろで士道のことを興味深げに見つめている。 「あぁ、紹介が遅れましたわね」  狂三は後方の少女が士道によく見えるよう一歩横へ退き、続けた。 「こちらは白の女王(クイーン)。わたくしの反転体ですわ」 「……は?」  あまりにも平然と言う狂三に、士道はポカンと口を開けて間の抜けた声を発してしまった。  だが、すぐにハッとして聞き返す。 「は、反転体……!? なんで、そんなのがここに……!?」  反転体、それは精霊が持つもう一つの人格のことだ。精霊の力の源、セフィラが深い絶望に染まった時、存在が反転し現れるのがこの反転体と呼ばれる別人格だが、なぜそれが今この場所に現れているのかが理解出来ない。  狂三の反転体と言っていたが、精霊とその反転体が同時に存在すること自体,、本来は異常事態なのだ。 「正確な原理は分かりませんが、まぁわたくしが精霊の力を取り戻した際の副産物ですわ。取り敢えず害はないのでご心配なく」  狂三が雑に説明すると、紹介された白の女王というらしい少女が前に出て、身構える士道に挨拶をした。 「よろしく、五河士道。ご紹介に預かった通り、私は時崎狂三の反転体。白の女王と呼ばれる者だ。そんなの、ではないよ」 「え? あ……すまん」  物腰こそ丁寧だが、どこか尊大な雰囲気を覗かせる狂三の反転体――白の女王に、士道はやや調子を崩されながら会釈した。  反転体は基本的に精神が荒み、所構わず暴走する危険な状態ということが多いので警戒するべきなのだが、この白の女王にはそういった様子は感じられなかった。 「まぁわたくしとしても不本意なのですが、生まれてしまったモノは仕方ないということで、暫く面倒を見ることになったのですわ」 「なるほど……? ……ん? いや、待て。なぜか反転体が生まれたってことは一応分かったが、それと俺を拉致したのはなんの関係があるんだよ」  士道が言うと、狂三は「まぁ」とわざとらしく口を抑えて驚きを表した。 「拉致だなんて……。用事があって来て頂いただけと言ったではありませんの。確かに士道さんの都合についてはお聞きしませんでしたけれど」  こちらの都合は聞かず、抵抗する間もなく突然影の中に連れ込んで家まで運ぶのは、どう好意的に解釈しても拉致でしかないと思うのだが、狂三にとっては違うらしかった。 「はぁ……、まぁいい。俺が言いたかったのは、別に無理やり連れてこなくても、普通に連絡をくれればこっちから訪ねたってことだ」  士道は一旦反転体のことは置いておき、随分と強引な狂三の目的を尋ねることにした。 「あらあら、相変わらずお優しいですわね、士道さんは。……では、その優しさに甘えて、わたくしの用事も聞いていただきましょうか」  正直なところ、あまり良い予感はしなかったが、他ならぬ狂三の頼みとあっては聞かないわけにはいかない。  攫うようにしてまで自宅へ連れて来る程なのだから、軽い要件ということはないだろう。 「で、なんだよ用って。大切なことか?」 「ええ。士道さんにお願いがあるのですわ。……と言っても簡単な話ですのよ? ただ――わたくしに食べられてしまって欲しいと、ただそれだけですの」 「……は?」  狂三はにっこりと妖艶な笑みを浮かべ、その言葉に士道は思考を止めた。 「食べるって……」 「覚えていますか? わたくしが士道さんと会った当初の目的を。わたくしは士道さんを喰らい、その身に宿す霊力を奪い取ることが目的だった――。それを、今実行しようと言うわけですわ」  滔々と語る狂三の話に、しかし士道の思考は簡単には追いつかなかった。 「いや、な……なにを言ってるんだよ、お前? その話は、だって……もう終わったことだろ。俺の霊力を奪うってのは、もう諦めるって話じゃなかったのか!?」 「いいえ、諦めてなどいませんわ。それは士道さんも知っているでしょう? わたくしは決して諦めないと。そして始原の精霊の力は未だ士道さんの体内に残されている。ならば、わたくしのすべきことは一つだとは思いませんか?」 「そ、それは……」  精霊の力を失った後も、狂三がずっとその力を取り戻す研究を続けていたことは聞いていた。こうして実際に精霊に戻ることが出来ているのも、その研究の結果だ。  だが、実際に精霊の力を取り戻した後の狂三がどのような行動に出るかまでは考えが及んでいなかった。  彼女の目的は分かっている。ならば、現在この世界で最も霊力をその身に蓄えているであろう存在――士道のことを放って置くはずがなかったのだ。 「本気、なのか……?」 「もちろん」  怪しく微笑みながらにじり寄ってくる狂三に、士道は捕食者を前にした獲物のように後ずさった。  が――。 「ふぅ……やれやれ、気恥ずかしいからと言って、あまり脅かすものじゃないよ」  二人の間に割って入るように、時崎狂三の反転体――白の女王が口を挟んだ。 「え……?」 「…………」  白の女王の言葉に狂三はピタリと動きを止め、士道はどういうことなのかと表情を困惑に染めた。 「そう怯える必要はない。彼女は少し君を驚かせようとしているだけだよ」 「余計なことは言わないでくださいまし」  狂三が眉間に皺を寄せ言うと、白の女王は肩を竦めて首を傾げた。その仕草は随分と人間臭く、やはり反転体特有の危険さのようなモノは感じられなかった。 「えっと……つまり、冗談ってことか?」 「いいえ、冗談や狂言を言っているわけではありません。士道さんから霊力を貰い受けるという目的は変わっていませんわ。……ただ、取って喰う必要までは無いということです」 「君を殺さずとも、霊力を吸収する術はあるということさ。君はこの世界では貴重な霊力を溜め込んだ存在だからね。死なせるには惜しい」 「人を便利な貯蔵庫みたいに言うなよ……」  白の女王が補足するように狂三の言葉に付け足す。  そして白の女王は「それになりより……」と狂三へ視線を送りながら続けた。 「今の時崎狂三が、五河士道を殺せるはずがないからね」 「っ……。本当に余計なことばかり……」  狂三が居心地悪そうに舌打ちする。  狂三の決意の強さを知っている士道からすると、彼女ならば本当にやりかねないと思ってしまう部分は確かにあった。どのような理由にしろ、命の保証が得られるのはありがたい。  それに、狂三が士道を殺すようなことは出来ないと思っていてくれていることは、士道としては甚だ嬉しいことではあった。それだけ、彼女との絆も深まったということだろう。 「とにかく、理解はしていただけましたか?」 「あぁ……まぁ一応。俺の身体に残ってる霊力が欲しいってのは分かったよ。でもどうやってだ? そんな簡単に出来ることなのか?」  過去、まだ精霊の力が消失していなかった頃は、精霊たちは精神状態の変動によって封印された霊力が士道の身体から逆流する形で取り戻すこともあった。  が、今はその時とは状況が違う。狂三が今手にしている霊力は士道の霊力ではなく、二人の間に経路は開かれていない。故に霊力の逆流現象も起こり得ないはずだ。 「それは、考えがありますわ。お忘れですの? 士道さんは我々……精霊の皆さんから幾度も霊力を奪い取ってきたではありませんの」 「それって……」 「えぇ、えぇ。接吻……つまりはキスですわ。今更恥ずかしがりはしませんわよね?」  士道の思考を読み取るように、狂三が妖艶な笑みを携えながら言った。  狂三は今更だと言うが、士道からするととてもそんな平然とした態度ではいられない。  確かに彼女の言う通り、精霊の力を封印するために幾人もの少女をデレさせ、キスをしてきた士道だが、こう改めて言われると照れてしまうのは自然の摂理なのだ。 「いや、まぁその……必要だって言うなら構わないけどさ……」 「あらあら、随分不服そうではありませんの。そんなにわたくしとキスするのはイヤだと言いますの? あぁ……悲しいですわ、泣いてしまいそうですわ」 「お、おいおい……そうじゃないって。イヤだなんて言ってないだろ?」  わざとらしく泣く仕草を見せる狂三に、士道は慌てて言葉を取り繕った。  が、狂三はそれを見てすぐに泣き止み、ニヤリと広角を上げた。 「なるほど、では構いませんわね」 「え? あっ、ちょ……」  素早い変わり身で、ずいっと詰め寄ってきた狂三に、士道は思わず仰け反る。が、それ以上下がることが出来ず、すぐに壁際に背中を張り付けてしまった。  そんな士道を追い詰めるように狂三は手を壁に突き、さらに顔を近づけてくる。 「うふふ……では始めましょうか」 「お、おい……」 「大丈夫ですわ、わたくしに任せてくださいまし」  言って、狂三がゆっくりと唇を近づける。  本当にこの方法で以前のように霊力の受け渡しが出来るのか。上手くいったとして、霊力を奪われた士道に危険はないのか。そもそも心の準備が……。  と、躊躇っている間にも狂三は構わず迫ってきて、最早逃げられない被食者の心境を士道が味わった時。 「いいや、それじゃあ駄目だよ」  二人の行為を見ていた白の女王が、そこに待ったをかけた。 「へ……?」 「……はい?」  今にも口づけを交わしそうだった狂三が、白の女王の言葉に動きを止める。  士道も戸惑いこそしていたが、拒もうとはしていなかったので、助かったというより寸止めを食らったような気分になってしまった。 「なんですの急に。駄目って、何がですか?」  狂三が問うと、白の女王は、ふぅと息を吐いてから答えた。 「確かに粘膜接触による霊力供給は常套手段ではあるが、始原の精霊の力ともなればそれでは効率が悪く、そもそも今の五河士道から霊力を此方側に吸収出来るのかという問題もある」 「そんなことを申されましても……。わたくしの精霊の力を封印したのは士道さんなのですから、士道さんに責任を取ってもらおうと言ったのは貴方ではありませんの」 「そんな話してたのか、お前ら……?」  どうやら彼女たちも色々経緯があったらしい。士道にとって良いことか悪いことかは分からないが。 「目的は変わっていないさ。ただ、もっと良い方法があるというだけのことだよ」 「なんですの、その方法というのは」 「端的に言えば、性交渉さ」 「なっ……!?」 「ぶっ……!?」  白の女王の言葉に、狂三と士道は揃って吹き出してしまった。 「ん? おかしなことを言ったかな? より深く身体を交わらせることが出来て、精液から直接霊力を吸収出来ることも考えれば、これが最良の方法だと思うが?」 「せいえ……っ。そ、そんな話聞いていませんわ!」 「魔術師の体液にはより濃い魔力が宿るものだろう? それと同じさ。五河士道の体液となれば、それはもう格別に濃密な霊力が宿っているはずだよ」 「だからって……その、つまり士道さんと……するんですの? せ……せ……」 「セックスかい?」 「性交渉って言っていたでしょう!」  直接的過ぎる言葉に狂三が叫びを上げる。  しかしその反応を見て、白の女王はまたやれやれと肩を揺らすのだった。 「キスは出来るがセックスは出来ないと? 君の覚悟はそんなものだったのかい? 君の五河士道への思いも、そんなものだったのかい?」 「なっ……!」  反転体に呆れられ、狂三は分かりやすく狼狽する。  相手が自分の半身とも言える存在だからなのか、どうも調子を崩されがちのようだ。  眼の前で言い合う同じ顔の白と黒の少女に、士道は呆気に取られていた。 「君ももう子供という歳では無いのだから、この程度のことで狼狽えていてはいけないんじゃないかな?」 「い、言ってくれますわね……。人ごとだと思って……」 「人ごとだなんて思っていないよ。私も参加させて貰うからね」 「はあっ!?」  白の女王の宣言に驚きの声を上げたのは士道だった。  狂三と性行為という話になっただけでも驚いているのに、反転体の彼女まで一緒にそこへ交じると言うのだ。話がどんどん士道を置いて進んでいる。 「私も霊力を必要としているからね。彼女に協力するという約束もした。何か問題あるかな?」 「いや、あるだろ! そんな急に言われても……。というか、狂三はそれでいいのかよ!?」  士道が問うと、狂三は「まぁ……それしか方法が無いのなら……」と顔を赤らめてこちらを向いた。 「わたくしは……構いませんわ。士道さんこそ……どうなのです? わたくしたち二人を……抱きたいと思いますの?」 「や、それはだな……」  士道とて年頃の男である以上、こんな美少女二人に迫られて性的欲求が湧かないはずがない。  いきなりのことで戸惑っただけで、狂三を異性として意識していなかったわけでもない。 「ふふ、嫌ならば拒絶すればいいさ。そうしないなら、私達の好きにさせて貰おう」  白の女王が言って狂三と頷きあうと、二人の美少女は士道の身体に触れ、左右から迫ってきた。 「お、おい……!? ちょっと待……っ」 「待ちませんわ」 「観念したまえ」  士道の制止も聞かず、狂三と白の女王は部屋に設えたベッドまで士道を連れて行くと、その上へ強引に押し倒した。 「さぁ、五河士道。少々手荒になってしまったが、安心して私達に身を任せたまえ」 「任せろって、お前ら……」  士道は積極的に過ぎる少女たちに何か言おうとしたが、こちらを見つめる狂三の表情に、思わず言葉を詰まらせた。 「申し訳ありません士道さん……。今は、黙ってわたくしの願いを叶えてくださいまし」  そういう狂三の顔は真剣で、切ない表情が見え隠れしていた。 「狂三……」  どうやら、狂三はもう覚悟を決めたらしい。  ここで士道が気恥ずかしさにヘタれてしまってのは、彼女の想いを深く傷つけてしまうだろう。  ならば、もう士道の選択肢は一つしかない。 「よろしいですか、士道さん?」 「……わ、わかったよ」  狂三の問いかけに、士道は頬を紅く染めながらも確かに首肯した。

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