可愛い声の美少女声優が人間ふくらし粉で何度も太り、肉塊になってもっと太る話
Added 2022-05-21 15:32:46 +0000 UTC
1.ある日の夜
【悲報】人気声優Yの劣化が止まらない【激太り】
[最近顔丸くなった]
[キャラそのものが太ったみたいな声になってる]
[贅肉から声出てんな]
[※デビュー時の写真と今の写真の比較]
すっ、すっ、と指が画面上を滑る。イニシャルが同じだからと開いてしまったまとめサイトの記事は、彼女自身のことを書いたものだった。怖いもの見たさと、見るべきでないという警告が、スクロールの速度を不規則にしていく。止めたり、飛ばしたり。
『…………見なきゃよかったなぁ…』
がっかりした女の子を演じているかのような、そのまま採用できるほど可愛らしく、耳に心地よい声。しかし、紛れもなくその呟きは、後悔の一色に染まっていた。
『わたしだって、太ったの分かってるもん……』
ベッドの上で、窓に背を向けるように寝返りをうつ。余ったお肉が寝返りで布地の偏ったパジャマにひっかかり、突っ張る。そのお腹のふくらみを意識すると、パジャマに着替えた時の下半身の窮屈さが勝手に思い出される。
ぎゅう、と布団をかぶって、縮こまる。現実から目を背けて、うつむこうとすれば、あごの下にある認めたくない厚みに気付いてしまう。
『……はぁ……』
デビュー当時から、優れた声質とそれを活かせる演技力によって高い人気を得ていた。プライベートの時間は確保されているものの、日々の仕事量の多さが、活動的な休日を過ごす活力を奪っていた。具体的には、運動をする時間や、しっかりと料理をする時間などが十分に確保出来ていなかった。不摂生を招き、改善する間もないまま、身体は確実に余剰なエネルギーを蓄える。とうとうその影響がネットで話題になってしまうほどに…。
2.わたし、ダイエット始めます
『最近、ちょっと頑張ってるんです』
声優の仕事のひとつ、ラジオ出演。顔や身体を見せずに済むおかげで、普段よりも前向きになれたからか、スポーツジムに通い始めたことを話した。こうして話題にすることで、あとに引けなくしようと、決意表明のような形で。
『みんな、お菓子とか送ってこないでね~!』
可愛い声で、ファンにおねがいをする。こうして、太りそうなものが勝手に手に入ってしまう状況も封じておくことにした。
『今日も、頑張る!』
24時間制のジムであれば、仕事の時間などに関わらず利用が可能だったため、彼女にとっては都合が良かった。家でついごろごろしてしまう時間を、少しでも運動にあてようと契約した。
『はっ、はっ、はっ、はっ…』
走ることこそ痩せることに繋がると信じ、ランニングマシーンの利用を中心としていた。肌着の上に大き目のシャツを着て体型を隠し、すこしゆったりしたハーフパンツを着て、お尻のお肉がぴっちりとしてしまうことを避ける。このおかげで、少し太り気味の身体がだらしなく揺れてしまうのは誰の目にも映らない。その贅肉を直接感じる彼女以外には。
『(うぅ…はやく痩せたいなぁ……)』
20代の女性としては十分標準的な体型だが、かつての肉体と比べれば、全体的にシルエットが丸い。走ることで揺れてしまう乳房が以前よりもサイズアップしているのは嬉しいものの、その下ではお腹がたふたふと震えて、お尻も重たく感じていた。
『……えぇ~……。』
ジムの翌日には体重を測る。多少は筋トレも取り入れ、有酸素運動として走っているつもりだったのに、減っていても0.1kg。なぜか、体重が微増しているときもあった。正確なボディメイクの知識を調べるよりも前に、彼女は落胆してしまう。結果の出ない朝にうんざりしていた時、自宅に何かが届く。
『ええっ、これ、ケーキじゃん…』
そもそもファンからのプレゼントは必ず事務所を通るはずなのに、どういう訳か直接届いたそれは、あろうことか切り分けられた1ホールのケーキだった。甘いものを我慢し、運動に力を入れていた彼女にとっては最も遠ざけたかったもの。
『痩せる…ケーキ…?』
普通なら、声優の仲間や友達にあげて、代わりに食べてもらうところだが、箱に同封されている手紙の内容が興味を引いた。
[食べるだけで痩せられるダイエットケーキです]
『いたずらかな…』
こんな都合のよいものは、存在するはずがない。それに、仮にやせる効果があったとしても、ケーキを食べてカロリーを上乗せしている場合でもない。
『…………。』
しかし、ダイエットの結果が出ない日々。趣味の時間を削っての運動、仕事終わりにジムに足を運ぶなど、我慢に我慢を重ねた今の状態は、ケーキを口に運んでしまうには十分な鬱憤がたまっていた。
『…あむんっ。』
誰も見ていないからと、8つに分けられたうちのひとつを手に取って、そのまま頬張った。甘いクリームが舌の上に広がり、柔らかなスポンジが歯と歯の間でふんわりと潰れていく。
『おいしい……』
久しく口にしていなかったスイーツは、とても甘く、美味しかった。だが、それだけではなく…
『…!!』
キュウゥゥ。ぽよっとしていたお腹が、みるみる内にへこんでいく。停滞することなく、ぎゅうぎゅうと内側に脂肪が消失していき、やがてうっすらと腹筋のラインが浮き出た。あごの肉も、二の腕の肉も、お尻の肉も、スルっと消え失せて、一瞬にして身体が痩せてしまった。おまけに、胸はしぼまずにそのまま残り、以前よりもスタイルが良くなった。
『おほん、あ、あ。』
それに、声の調子も良い。これで、キャラが太ってしまったなどとは、言われることはないだろう。
3.甘い罠
『ふっ、ふっ、ふっ、ふっ』
仕事終わりにジムへ。ランニングマシーンを使い始めて30分。軽快な足取りのまま気持ちの良い汗を流していた。身体が痩せてからというものの、運動が楽しくなっていたので、このまま運動する習慣をつけて、体型をキープしようとしている。あまり流行っていないジムだからか、他に利用客は居なかった。スタッフもいない夜間の利用は、トレーニングに没頭するには絶好のタイミングだった。
『このまま運動をサボらないでいれば、リバウンドもしないはずだよね…!』
充実した気持ちのまま帰宅し、パジャマに着替える前、もう一度シャワーを浴びた。鏡に映る引き締まった身体につい見とれてしまう。
『えへへ…♪』
濡れた身体をタオルでふき取り、下着を身に着けようとすると、身体の違和感に気付く。
『あれ?こんなに胸大きかったっけ…?』
ブラのホックがなかなか閉らない。ぐっと寄せるたびに胸が弾む。たぷん、たっ…ぷん。
『んん…おかしいなぁ……。…ふぁああっ!?』
どぽんっ!と胸が巨大化し、ブラジャーから乳房が零れ落ちた。慌てて収めようとすると、腕が重たい。それどころか、身体全体が重たく感じる。
『な、なにぃ、これっ、 んあぁっ! あああっ!』
身体に起こった異変を理解する前に、ボン!と一回り大きく身体が太り、間髪入れずもう一度ボン!と太った。
『ど、どういうことぉ……』
ぷっくりした手で顔を触ると、ぼってりと膨らんだ頬が手のひらに当たる。困惑する声は、可愛さがウリの声質からは遠くかけ離れた、もたもたした太い声に変わって。
『ひゃ、120㎏……』
太くなった脚でのそのそと体重計に乗って知らされる現実。ネットで騒がれる原因となった60㎏前後の体重の時にケーキを食べて、40㎏台に痩せたはずの身体は、120㎏の肥満体になっていた。贅肉で膨らまされた乳肉、どうにも隠しようのないでっぷりと前にも横にも突き出したお腹、どのズボンもスカートも入りそうにない巨大なお尻。
『副作用なのぉ…?ふぅ…ふぅ…、なんだか、くるしいよぉ……この声…いやぁ……はうぅ……』
同封されていた紙には、反動で太ってしまうとは、一切書かれていなかった。何度見返しても、痩せるケーキとしか書いていない。大幅に痩せることが出来たが、それ以上に大きく太ってしまう原因となったケーキは、あと7ピース箱の中に入っている。
『これを食べちゃったからだ…でもぉ、このままのかっこうじゃ、お仕事にも行けないよぉ……』
太ってしまった身体で唯一着ることが出来たのは、体型を隠すためにジムで身に着けている大き目なシャツとハーフパンツだけだった。しかし、シャツは下腹がギリギリ隠れず、ハーフパンツはしゃがんでしまえば破けてしまいそうな無理矢理な状態。おまけに、ジムで使ったばかりなので、少し匂いがきつくなっていた。
『んぁ、はぁ、はぁ、やっと、着れたぁ……うぅ……ちょっとにおう……どうしよう……』
着ることの出来る肌着などなく、直接着たシャツからはでろんと大きな胸から乳首が浮いてしまっていた。
もしかしたら、と、SNSで"痩せるケーキ"、"太るケーキ"を検索してみる。すると、同じ現象に悩まされている人の投稿を発見した。他の声優や芸能人だけでなく、一般のアカウントも被害にあったようだった。そこで、気になる文章を見つけた。
"もう一度ケーキを食べたら痩せた"
『これ…ホントかなぁ……』
ちらり、とケーキを見る。…どういう訳か、口の中にはよだれが溜まって、思わずそれを飲みこむ。ごくん。まるで太っている人がケーキを食べたくてたまらないような絵面になってしまったことにハッとするものの、気づけばケーキの箱の前に座っていた。
『どうせ、もうこんなに太っちゃってるし……はむっ…もぐもぐ…』
太い指がケーキを掴みあげ、すこし開きづらくなった口がそれを迎え入れる。太ってしまったのだから、品のある食べ方をしてもしょうがない。臭う運動着に身を包んだ120㎏相当の女性が手づかみでケーキを食べる。ダイエットを諦めてしまった女の子のように。あっと言う間に1ピースが口の中に消える。
すぅ、すうぅ。
お腹が引っ込み、お尻が薄くなる。が、まだぽっちゃりしたまま。
『あ、痩せた…!よぉし…あむぅ、もぐ、もぐ…んぐっ』
新たなピースをひとつ手に取って、急いで食べ進める。
するするっ、すらーっ。
『あ…』
口元にクリームをつけてはいるものの、ぶかぶかのシャツと大き目のハーフパンツを着た、スリムな美少女に戻っていた。
『…よかった……今度はこのまま何も起きないと良いけど……』
一応、と情報収集を始める。怪しいケーキが届いても食べないように、と注意喚起する投稿や、デマに見える情報を書き連ねた投稿が先ほどよりも増えていた。その中で、有益な情報を得る。
【大丈夫だと思うけど、一応残りのケーキをミキサーで飲み物にして、持ち歩くことにした!】
『これなら、またあんな風になっちゃっても大丈夫そう…やっておこう』
のこった5ピースをミキサーに入れ、牛乳などを加えて、それを大き目のボトルに入れた。再び副作用が出ても、今晩は2つ食べて収まったのだから、これで備えは万全。身体に違和感を感じた時、すぐに飲めるように、仕事にも、ジムでのトレーニングにも、肌身離さず持っておくことにした。
『いやだったなぁ…あんなに太っちゃうなんて……』
一息ついて、明日に備えてベッドに横になる。まだ肌に残る、ぶっくりと太った身体の記憶。感覚。少しでも身体を動かせばどこかしらの肉が揺れて、四肢が稼働する範囲も狭まっていた肥満した身体。ふと、自分が演じるキャラクターがあのように太ってしまったところを想像してしまう。
「えいっ」 野太い掛け声とともに、杖の先から魔法が放たれる。そのまんまるに太った身体では、滑稽なほど杖が細く見える。
「はぁっ、ふぅっ…!」 こんな肉体では、早く動くことなんてできない。
胸の大きいキャラも、お腹の方が大きくなってしまっていたり……
『…運動、がんばろ……。』
決意を新たに、明日もジムに行くことにした。
4.もう太りたくない
『ふっふっ、ふっふっ…………』
懸命にランニングマシーンで走る。あの贅肉はどこからきて、どこへ行ってしまったのか。もう一度太ってしまうのか、単なる偶然だったのか。不安が焦りとなり、それを振り払うように設定速度を上げる。身体を動かすことで余計な事は考えないようにしたかった。
『(…………今日見かけた人達って…)』
それでもなお、記憶に強く刻まれていたのは、ジムに来るまでに見た人達のことだった。明らかにサイズの合っていない服に無理矢理贅肉を詰め込み、はち切れそうなボタンを気にしながら、のっしのっしと歩いていたOLや、ベルトがつけられなくなってしまっていたサラリーマンなど、どう考えても同じ副作用が出た人達の記憶。どぷどぷとお肉を揺らしながら歩いていた学生の姿と昨日の太った自分が重なる。嫌、嫌、と首を左右に振り、より運動に励んでいた、その時。
恐れていたことが現実になる。
『痩せなきゃ、痩せなきゃ……ふぅっ、はっ、はっ……』
タッタッタッ。軽やかというより、急ぐように、繰り返し流れるマシーンのベルトを蹴っていく。
『んっ…!』
どくん、とまるで身体が大規模な変化に備えるような、わざとらしい鼓動が脳を揺らす。
『あ、、やば、』
本能的に察知する。まもなく自分は"ああ"なってしまう。ランニングマシーンのボトルホルダーから素早くケーキ入りのボトルを取り、
キャップを開けて、
口に咥え、
中の液体を口に含み、
飲みこむ。
飲みこまれた液体が食道を通り、胃へ。
このわずかな間にも、彼女の身体は昨日以上の勢いで太りだしていた。
ムクッ……ぼぼんっっ!!!!!
少しずつではなく、一気に身体が贅肉で急激に膨張した。
ぎゅむ…ぎゅむ…!
『いやああぁぁぁああああ!!んぎぃっ…!』
太ったことに思わず叫ぶ。その声は昨日よりも太く重たい。大き目なシャツは肌着と共に一瞬で胸の脂肪を包み込むだけの布と化し、袖口は丸太のような二の腕を抱えて千切れそうだ。膨張する腹肉を隠す布は一切存在しない。
ランニングマシーンの左右のバーを壊してしまうほど身体は膨れ上がり、安全装置で動作は止まったものの、彼女は身動きが取れなくなってしまった。
『んっ…! うぅぅ…はさまっ……うごけないよぉぉ……こんな身体いやぁぁっ…!』
太い身体に太い声で、必死にもがいてもバーの上に乗った脇腹の肉がとっぷとっぷと揺れ、勢いをつけようとしても更に大きくなった爆乳が重たくゆさゆさと動くばかりで、状況は変わらない。巨大化した尻肉はジャージを破り割き、臀部の駄肉に食い込むショーツだけを残している。
『あっ、こ、これ、のめば……ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅっ……!』
ランニングマシーンに身体がはまって動けない、超重量級の女性が、ケーキをどろどろに混ぜ合わせた飲み物をラッパ飲みする。なるべく早く飲みたいからと、無意識に片方の手でお腹をだぷだぷと揺らして、消化を促そうとして。
『(こんな格好でこんなことしたくないよぉ………でも、のまなきゃ…!)』
鏡に映った自分の姿から一刻も早く離れるには、飲むしかなかった。
『ぷはあっ…っげぇぇっ。ぁ…//// でも、これで…!』
息の続く限り飲み続けて、半分ほど飲んだ時点で身体に変化が表れ始める。
スルスル……
思惑通りに身体はやせはじめ、200㎏から300kgはありそうな肉体はぐんぐんと脂肪を失っていき、80kgほどの身体に戻ることが出来た。
『はっ、よかった……』
胸をなでおろしたぽっちゃり彼女。突然の出来事に心臓の鼓動は速まり、上がった息のまま、身体に流れる汗を拭くよりも前に、ちょびちょびと少しずつシェイクを飲んでいく。
スス…ススス……
キュッとした腰回りに戻り、お腹が平らになる。
『びっくりした……………おぶぅぅぅぅっ!!!!! おぼ、むぉぉおあああああっ!!!』
痩せた体型になった瞬間に、全身の脂肪細胞が暴れ出し、先ほどの体型の倍以上の体型になってしまった。太りきってからも少しずつじわじわとお腹や胸、お尻が膨らみ続ける。太ったはずみで大きなしりもちをついても、カバのように分厚い臀部の脂肪が身体へのダメージを無効化していた。ジムの床に座ったまま身体が動かせない。
『どぉぉおおしてぇぇぇぇぇぇえええええっ!!!!』
倍以上に太れば、更に頬肉や声帯の圧迫によって声が太くなる。目の下から頬の肉が迫り、涙が丸く膨らんだ頬の左右を伝っていく。
『の、のまな、きゃ………! んごぎゅっ、んぎゅ、んぐ、んぐ……!!!』
床に縫い付けられたような肉塊がケーキシェイクをごぐごぐと飲む。おなかが空いて仕方がない超肥満女性のように見られようと、彼女にとってはそれだけがこの状況から脱する術だった。
すぅ……すぅ…………
『んあぁ、痩せてる、けどぉ…なんで、こんなにおそいのぉ…!』
むち、むち…みち……たぷ……
『やだぁ…!どうして太るのぉぉおっ!!! んぐ、んぐ、んぐ…!』
最後にのこったシェイクを飲みながらでも、身体は痩せる効果よりも強い太る効果に支配される。あたかも、それを飲んでしまったことが直接身体を太らせているようで、飲んでいる彼女自身の混乱を更に煽る。
『ぶはっ……の、のみおわっちゃっ………む゛ぐぁ…っ!』
ぶっっっっくぅぅう………とふた回り身体が大きくなる。体重は1000kgを超え、つい数分前までマシーンの上を駆けていた脚は自力では動かせないほど太く、重たく、大きくなってしまった。手の先に握られた空のボトルがひどく小さく見える錯覚は、太り過ぎた腕と丸みを帯びた手によるもの。
『む゛ぁぁぁああああああ゛あ゛!!!!』
およそ女性とは思えない叫びは、けだもののように低く、ジムの窓ガラスを震わせる。これ以上身体を痩せさせるケーキはなく、一歩も動けない状況になると、彼女自身の意識は肥え太りきって肉の塊となった肉体に向く。視線の前には大きな鏡があり、その鏡の大きさでさえ映しきれなくなった巨体、肌色の塊が目に映る。
『ふぃぁ、てぃがうのぉおお…こぉんなの、わだしのがらだじゃなひのぉぉぉおおおお……んぶぉぉおっ、ぶおっ…やだあぁぁぁああああ……』
誰も助けてくれる人の居ないジムに、重低音の嘆きが響く。もう二度と、痩せていた身体には戻れない。
何もできないまま、重厚な呼吸が繰り返される。どれだけ泣いても、人気声優だった彼女の喉からは極度に肥満した人間の声しか出てこない。頭の中のなにかが切れる直前、大きな音が彼女を現実に引き戻す。
バリーーン!!!! ぶしゅううううううううう!!
背後でガラスの割れる音。立て続けに強く空気がまき散らされるような音が聞こえる。首周辺は胴体からせり上がった贅肉に自由を奪われ、黙視することが出来ない。空気が濁り、嗅覚は不思議な香りを感じ取った。その匂いは、ケーキのスポンジを噛んだ時の香りに良く似ている、と気づくころには、彼女の身体は事の始まりよりも更に痩せこけた、枝のような痩躯になっていた。
『こひゅ……ひゅ…こんなに、やへちゃったら……い、いや……』
必要な肉すら奪われ、まともに歩くことも出来ない。こと切れる寸前の美少女が囁くような声は水分も油分もない。そして、ここまで痩せてしまった後に起こることを、予測してしまっていた。しかし、予測しかできなかった。ゆえに、このあとの変化を受け入れる事以外に、出来ることは何もない。カラカラに乾いた声が消え、静寂が訪れると同時に、痩せこけた彼女の身体は急激に太り始めた。か細い身体から体脂肪が洪水のように、どぷん、どぶん、ぶぉもん、どぽん…と溢れ出す。決壊したダムのすべての水がたった一つの袋に流れ込むようなスピードと規模は止まることはなく、彼女の肉体がどんどん室内を狭くしていく。ぎぎぎぎ…と百数キロはあるジムのマシンが自らの脂肪に押されて壁に追いやられていく。
『ぶぉぉぉっんぼぉぉおおおおおおおおおおぉぉぉっ!!!!』
女性らしく、悲鳴を上げようにも、頬の肉や圧迫された喉がそれを許さない。彼女の口から出たのは大型客船の汽笛そのものの重たく、低く、太い声。身体は次第に熱くなり、止まる気配のない肥大化が彼女を更に追いつめる。目の下から迫ってくる頬の肉が膨らむのを抑えようと、パンパンの手で顔を押さえた時、不運にもぼごぼごと太っていく自分の身体を映した鏡を見てしまう。
『む゛ぉぉぉおお!んぃ゛、や゛だぁぁあんぶ!うぶっ!やだっ、ぶ…ぐ………』
ヤダと叫ぶことすら、体内からとめどなく溢れる贅肉の膨張に阻まれる。胴体から喉へ突き上げられるような衝撃が発音を邪魔する。その衝撃が来るたびに、彼女の声は遮られ、身体は太る。
『……ぶおおおっ!……んごっ、、ぶぉほぉぉっ、…んおっ…………』
やがて、叫ぶことを止める。意地悪な加工をされたとしても、ここまで醜悪な声にはならないだろう。だからこそ、こんな自分の醜い声は聴きたくなかった。しかし、胸が、腹が、尻が、顔が、衝撃と共にボゴンボゴンと膨らむと、漏らしたくない声が漏れてしまう。自分の口から、油脂そのものを吐きだしているような声は何分間も続き、次第に気は遠くなっていった…………。
[◯◯区で発生した事件の犯人が捕まり、数日が経ちました。特別な化学薬品を使ったケーキを無差別に効果を偽って提供し、更にSNSで情報を操作するなど、悪質なものとして、関心が集まっています。現在では、被害に遭った方々の移動や入院を区が進めており、症状が出ている被害者は全員治療を受けている状態となっています。また、区は被害者の個人情報の公開を控えており、SNSなどでも詮索をしないように呼びかけています………次のニュースです…]
「ぶふーっ……んふーっ………」
「んぁ、はぁ、はぁ…」
「おなかすいたよぉ…」
「い、いつ痩せられるんだぁ…」
病院の各ベッドいっぱい広がる贅肉のかたまり。その全員が今回の事件の被害者たち。あるものは怪しいケーキを食べ、あるものは突如散布された粉塵を吸い込んでしまい、普段の何倍も重たい身体になってしまった。無差別に行われたせいで、一般の住人だけでなく、芸能人も巻き込まれていた。有名な被害者の病室はそれぞれ個室が用意され、いくら被害者同士であっても誰なのかは分からないようになっている。だが、好奇心を押さえつけられる人は少ない。被害を受けていない者であれば、なおさらだ。
【悲報】大人気グラビアアイドル、SNSの更新が途絶える【デブ化】
【脱退濃厚】俺の推しがライブに来なくなった
SNS上での動きが鈍くなった芸能人を見つけては、今回の事件に巻き込まれてしまったと結論付ける者が後を絶たなかった。そして、
【ついに】声優Y、音沙汰がない【本物のデブ】
彼女の失踪もまた、何者かによって嗅ぎつけられていた。
『む゛ぉおおお゛~~………はや、くぅ、やせだいよぉぉぉ……』
芸能人用に用意された個室ではなく、特別に症状の重い被害者を治療するための部屋。
彼女はSNSの情報をもとに繰り返しケーキを食べ、更に運動で息が上がったところに粉塵を多く吸い込んだことで最も症状の重い被害者となっていた。その体重は8947kg。人の形を感じられないほど大量の、身体に蓄えられた贅肉による巨大な山。ときおりうわごとのように、肥え太りきった身体に対する嘆きを、20代の女性とは思えないほど低く、太い声で漏らす。
『おぷ、んぷ……くる、しい……むぅぅぅぅぅ゛…ふぅぅぅぅぅぅぅ~………こぉぉんなの゛ぉ、、い゛やぁぁぁ……あぁぁぁ……も゛ぅぅふうぅぅ………』
常軌を逸した超肥満体はいつ生命活動が止まってしまうかどうかも分からず、どのような処置を施すべきか、正しく示せる医師はいない。現状、心身の安定を図るために、空腹を訴えた場合はストレスを生まないように出来るだけ素早く満腹にするというのが精いっぱいのケアだった。
『う…あ……やだぁ…おなが…すいちゃ、っだ……む゛ぅぅ……』
脚立などを利用して彼女の口の傍まで食べ物の乗ったおぼんを持ったスタッフが近付く。ぽろぽろと涙を流しながらも、出来立ての料理の匂いに釣られて鼻がふがふがと鳴る。食べたら太ってしまうと口を閉じるも、閉じた口からはよだれが漏れ出て、ひとたび口の中に食べ物が入れば
『あぁぁ……… も、もっとぉ… たべたぁい……』
何杯もよそった白米が消える
大皿にいっぱいのから揚げがなくなる。食べ物が消えていくたびに、膨らむ肉塊の巨大な腹。食事が終わると、彼女の様子がまた変化する。
『ぁ…や……ま、また、食べちゃ、っげぇぇぇぇあああああ゛あ゛!!! ったぁ………! やせられないよぉぉぉ゛……このからだぁぁ…いやな゛の゛にぃぃいぃぃいいい………』
彼女が収容されて以来、毎日この繰り返し。結果として、彼女の体重は僅かではあるが増加し続けており、その事実は本人には伝えられていない。もしそのような事があれば……自暴自棄になり更に増量してしまう恐れがあるためである。
他の被害者が痩せて退院していく中、彼女だけは泥沼のような日々を過ごし続ける。
時折、地響きのようなうなり声が聞こえる病院として噂が立ち、それが人々の間で話されなくなったとしても。
生きる人々から今回の事件の記憶が失われても。
彼女自身がなぜ、この身体になったのか忘れてしまっても……………
Comments
ありがとうございます! いっぱいデブ声になってもらいました(^ω^) あそこシコですよね〜 お気に入りのシーンです
2022-05-21 23:17:27 +0000 UTC投稿お疲れ様です! 声が売りの彼女が見る影もない野太い声になっていく様は素晴らしいですね… 太り続ける身体をなんとか戻そうとシェイクを飲むもさらに太っていくシーンはめちゃシコでした…!
むらさきサニキ
2022-05-21 16:51:16 +0000 UTC