さわやかな風が吹き込む病院内。
エントランスでは重症の患者が放置されている。血まみれだったり謎の魔界由来のウイルスに侵され化け物のような腫瘍を身体からはやした人間の患者たちがゾンビのように徘徊している。
入院病棟へ進むと、窓ガラスが割れあけ放たれた窓から薫風に交じって消毒の匂いが優しく香り、血やら様々な体液がこびりついた間仕切りのカーテンを揺らしている。
その向こうではサキュバスの看護師の影が入院患者の生気を吸い取っている。
その嬌声と絶望的快楽に生命最期の慟哭を上げる入院患者の絶叫。
そのやかましさに後輩ケモは目を覚ました。
「イデデ…。自分…まだ生きて…」
腹部の傷は乱暴に縫い付けられている。ケモは回復力があるのでデヴィルドクターに適当に処置されたらしい。まぁ気まぐれで丁寧にやられてあとから法外な請求が来るよりはマシか…。
にしても手抜きがひどい。生命とか、治療といったものへの関心が微塵も感じられない縫合痕だ。足で縫った???
「はッ!!そうだ!!先輩は!!うぐぐ…先輩…ぜんぱあああぁぁあ~い!!」
「何泣いてるんだ。私は生きてるぞ」
先輩ケモはペラペラと読み飛ばされる文庫本に目を落としながら答えた。
「せ!!せんぱぁああああああ~い!!!!」
後輩ケモは自分の怪我も忘れて先輩ケモに抱き着いた。
治療中につきタンクトップにパンツだけの先輩ケモ。
腹部には同じく乱暴に縫合された傷跡が残る。
ああ、これは自分をかばって負った傷口なんだ…。
何てロマンチックなんだろう…。
微塵も余計な脂肪のない、それでいて女性らしいしなやかさを備えた完全な腹筋に刻まれたそれを思わずべろべろと舐める後輩ケモ。
完全なものに刻まれた一筋の欠落…。エッチすぎる!!!尊すぎる!!!
「う!!うわぁ!!いて…イデデデ!!それ以前に…!!きっもち悪いな!!お前!!!完全…??欠落???きもいこと呟きながら…きゃっ…!!舐めるなぁ!!」
「あ!!声に出てました???すいません!!つい!!ベロベロベロ…。」
「なめながら謝るな!!」
「っていうか…
「なんでセミダブルベッドにコイツと二人で寝かされてるんだ…!!ここ病院だろ一応。隣はうるさいし…。」
「ぐへへ…ホント、変な病院っすね!!センパァイ…💕」
「ちょッ!!おま!!やめろ…ッ!!」
そういって後輩ケモは先輩ケモの腹部をなめながら一枚のブランケットのさらに奥へもぐりこんでいった。
サキュバス看護師は生気のオカワリを始めたようだ。
入院患者の声は今度は聞こえなくなっていた。
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