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隊長 from fanbox
隊長

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瑠璃の尿跡

「なぜ山に登るのか。それは、そこに山があるからだ……」 「なんて言うけど、そこまで山フェチじゃあない。私が登るのは……石!宝石!キレイな石!!!」 「私もそれなりにフィールドワークをこなしてきたし、ここらでそろそろ凪さん頼りじゃない石探しをやってみたいよねー……」 「ってことでやって来ました、調べて出てきたなんか凄そうな山!こういうところにこそお宝は眠る!」 「さあ行くぞー!お小遣い前借りして装備も(百均で)揃えたし、ここらでお宝ざっくざくだー!!」 埋蔵金。あるいは地より出でる宝石の山。それはいつの世も人を惹きつけるもの。 ひょんなことから石探しの世界に首を突っ込むこととなった彼女、谷川瑠璃もそのひとり。元を辿れば水晶探しに端を発した彼女の石探しは、ここに来て原点に回帰しようとしていた。 頼れる大学のお姉さんから離れ、培った経験と勘のみを頼りに宝石をがっぽり手中に。そんな野望を胸に、瑠璃の宝石探しは幕を開けた。 【2時間後】 「な……ない……なんも……ないぃ……」 「お……おっかしいなー……?ルーペとザルと磁石の完全装備で来たってのに、そもそも川自体見当たんなくない……?」 「そのへんの石にヒントが……って言ってもどう見たってただの石だし。これで何をわかれってのさ……」 しかし瑠璃の山探しは難航していた。元より素人に毛が生えた程度の彼女の知識で、既に手垢のつきまくっているネットの情報に飛びついた時点で勝敗が見えていたとも言えるが…… だが彼女にとってもそれは織り込み済み。ネットの情報は当然みんな飛びつくものとして捉え、その中であえてみんなが行かなさそうなところをチョイスしている。 宝の可能性が高く、なおかつ安全で行きやすいところは競争率が高い。ならば宝のある可能性は高いが、少し危険なところであるなら? 瑠璃が今回選んだのは、そういう所だった。 もちろんその影には、相応のリスクが付き纏うものではあるのだが。 「……いや、負けるな私!宝が出てこないなら、出るまで探せばいいだけ!やるぞー……おー!」 「うおっっっっっしゃあああーーーーーーーー!!!!」 【さらに2時間後】 「ぜ………………っひゅ…………ォェ、コヒュッ…………コヒュ-…………!」 「も…………むり…………きゅうけ…………かひゅっ…………」 「んぐっ、んぐっ…………」 「っぷはぁぁっ!……っあーーー生き返ったぁ……!」 気合いを入れて山を駆けずり回って数時間。力尽きた彼女は地べたに倒れ込んで半ば強制的に休憩をとっていた。もはや動くことができる状態ではなかったのだ。 単なる気合いで動き続けてきた彼女は脱水を起こし、今にも気絶寸前の状態。そこから大型ペットボトル1本分のスポーツドリンクを一気飲みして、急速に血色を取り戻していく。 人体にとって脱水がどれほど危険か思い知ったところで、それより更に危険なものが彼女に襲いかかる。 「…………あれ?ここ…………どこ?」 川もない。道もない。あるのはただ鬱蒼とした木々と、時たま見える岩肌だけ。 これまで経験してきた山たちとは違う、むき出しの自然が彼女に覆いかぶさってくる。 「……ふ、ふふーん!昔の人達ならこれで怖がらせられたかもしんないけど!今の人類にはこれがある!」 「スマートホン!!これで位置情報を見れば、どこに行けばいいかなん…………て…………」 「圏…………外…………?」 ガクガクガクガクガク 「ま、ままmmmmmまだddddddっっっだだだ大丈夫まだ慌てる時間じゃない大丈夫ひたすら歩けばなんとk」 瑠璃は今、明らかに恐怖していた。自分の犯した過ちに。自分が侮り、挑んだものの大きさに。 自分の周りを囲む大自然。大きすぎて比べてみようなんて気にもならないこれがしかし、自分の味方でないのなら。 この巨大で強大なもの全てが、敵になってしまったのなら。 この大きくて途方もないところに、ひとりぼっちになってしまったら。 いまさら、そんなことを思い知らされて。 周り全てが敵に見える彼女の側で、木々や鳥がざわめく。ざわざわ、キーキー。 「ひっ…………!?」 (こっ……ここ声が……するっ……!?お、襲って……?くく、熊……とか、鷹……とか……!?) (ど、どこから来る!?あっち!?こっち!?そこらじゅうから音が!わかんない……わかんないよぉ……!) 護身用に持ってきた熊よけの鈴も、撃退用スプレーも、なんだかとても頼りなく思えて。 今ここにいない、ふだん頼りにしていたあの人の顔が、脳裏に浮かぶ (ひとりの山って、こんなに怖いの……!?いつもは凪さんがいて、引っ張ってくれて、たすけて……くれて……) 「………………っ」 (そう、だ……今日は凪さんに頼らないって、決めたんじゃん。いつも頼ってばっかじゃなくて、1人ででもいい石を見つけて帰るって……!だったら……!) 「止まってる場合じゃ、ないよね……!」 _____________ 【さらにさらに2時間後】 「ゼエッ……ゼエッ……ケハッ……も……死゛ぬ゛……」 「あ……?ん?これ……って……」 山歩きを始めておおよそ6時間。女子校生に毛が生えた程度の体力でずっと道なき道を歩み続けてきた瑠璃の脚が、止まる。 それは疲労によるものもあるが、それだけではない。ふと顔を見上げたその目が、面白いものを見つけたからだ。 「これって確か、断層……?前に凪さんが言ってた、地面の中が見えるって……」 断層。厳密な定義は異なるが、俗語としての断層は「地すべりなどによって地層面が露出している場所」として言い表されることが多い。 そこではボーリングのような機材を用いることなく、その地域の地層を見ることが可能だ。いわば地面の中を見られる場所と言ってもいいだろう。 そのような場所であれば、いい石がある可能性も高い。疲労も吹っ飛び、飛びついた瑠璃が捉えたものは…… 「ぉ、おお、おおぉ……!これは……たぶんなんかの化石!ってかこれ知ってる!アンモナイト!」 「キレイな石とかじゃーないけど……これって割と貴重だったり……?」 『しないな。残念だが……』 「ぉ……?ん……?」 「うっ…………わ、わああああぁぁぁっっっっ!!!?!?!?nnnnななんぬな凪さん!!!?」 『来ると思って待ってて正解だった。まあ私もたった2~30分くらいしかここを見てないが……』 「いや、え?なん……なんでここに!!?」 さほど珍しくもないアンモナイトの化石と…… ぬるりと後ろから話しかけてくる、頼れるおねえさんの姿だった。 『話すと長くなるが……まあ瑠璃が危ないことをしないようにGPSで見張っていたら、案の定危険なところに向かっていたので急いで来たんだよ。おかげで準備もロクにできないまま来てしまった』 『なにしろここは電波も届いてないからGPSが途切れる前に来なければならなかったし、山に入った時点で音信不通だからその後は勘に頼るしかなかったし……偶然ここを見つけて、きっと来るだろうと思って待っていたんだ』 「GPSって……いつの間に……」 『なかなか便利だったよ。みまもりスマホ』 「子ども扱いするなー!!?」 「……ところでこの化石、ほんとにレアじゃない……?」 『アンモナイトは有名な分ありふれている。ここで採れた、ということに価値が出ればわからないが、そうでない場合はいいところ数千円程度だろう』 『そしてアンモナイトは基本的に色々なところで発見されているので、特別珍しいことではないかな。残念だが』 「うええ……こんなに歩いたのにぃ……」 『もう少し探索を続けるならまだ出てくるかもしれないが、少し装備が心もとないな……化石が相手となると、傷をつけないようにしないといけなくなるし』 『だが彼らもこう見えて、遥か数万年も昔の地球を生き抜いてきた大先輩だ。この石を通じて、そういったことに目を向けてみるのも……』 「あ……うん。持って帰ろうとは……思うかな。一応……」 「あの、ところでさ凪さん、帰り道……わかる?」 『車のあるところまで行ければ、普通に道があるから帰れるよ。車のところまでも、目印をつけてきたから行けると思う。もう見るものはないか?』 「……うん。ちょっとね、疲れちゃって……」 頼れる先達、凪と出会って安心したのだろうか。瑠璃の表情がほころぶと共に……何かが鎌首をもたげる。 偉大な歴史に思いを馳せる、そのきっかけたる石。あるいは宝物を見つけるための探索。それら魅力的な提案は、しかし急に態度の変わった瑠璃には届かない。 どこか強引に帰る方向へ話を持っていこうとする瑠璃。石探しのためにやってきたはずの彼女は、うってつけの場所を見つけたのになぜ帰ろうとするのか。それはしばらく後に明らかとなる。 【凪合流から1時間後】 『印は……これだな。となると次はあっちに……』 「あ、あの……凪さん?さっきから木を見ながらちょっとずつしか進んでないけど……」 『森の中ではこれが一番確実だからな。自分が通ってきた道がわかるように印をつけて、順繰りに戻っていくのが。木に傷をつけてしまうのはしのびないが、そこまで大きな傷ではないから……』 『森っていうのは厄介でね。どこを見ても景色が変わらないから、あっという間に方向感覚を失ってしまう。空が見えれば星や太陽の位置から方角を割り出すこともできるが……』 「思っきり曇ってるね……」 『フィールドワークに適した天気の日を選ぶのも、準備のひとつだよ』 「スマホもなんか使えないし……どうなってんのここぉ……」 『そもそもスマートホンのような携帯可能な電子機器程度の発する電波では、インターネットのような広域通信に乗せられるほどの出力は出せない。それを拾って、届けてくれる基地局がないとダメだ。ここはそういった施設から離れすぎているな』 「…………っもーーーー!!!不便すぎ!」 『方位磁石も……うん。ここは磁気を纏った鉱物が多いのか、あまり役には立ちそうもない。結局こうした、原始的な方法に落ち着くんだよ』 「うぅ……急いでるのにぃ……」 『どうかしたか瑠璃?どことなく落ち着きがないが……』 「……ま、まあ……ちょっとほら、ずっと歩いてて疲れちゃって……」 『ははっ、すぐにでも休みたいか?そうだな……けもの道をこのコンディションで進むのも問題だ。夜までには着きたい気持ちはあるが、焦るのもよくないな』 『では少し休んでいこうか。木の根っこに軽く腰をかけて、少し身体を休めて……あと水分補給だな』 凪が合流した後も、2人は山中の道なき道をずっと進んでいた。 2人のいる山は整備のされていないむき出しの自然。当然山道なども存在せず、周囲のどこを見渡しても木々に覆われた山の中の山。 進むべき道の存在しない山野において、目印は必須。そのため目印を確認しつつ、ミスのないようゆっくりと戻っていくのが最適なのだが…… 疲れているからなのか、そこはかとなく急いでいる様子の瑠璃はそれに異を唱える。確かに疲れを残したままこのような山林を進むのは良くないと、凪が休憩を提案する。 「え、あ、いやー……どっちかというと早く帰りたいっていうか……」 『無理は良くないな。それに季節も季節……この時期に水分補給を怠るのはまずい。完全に陽が落ちる前にはと思うが、こっちの方が優先だ』 『ほら、少し水で薄めたスポーツドリンクだ。そのままだと少々濃すぎるから、こうして水で薄めると人体にとって最適な濃さになる』 「いやその、私別に喉は……」 『駄目だ。喉が渇いた、と感じた時には既に手遅れな事が多いんだ。喉の渇きを感じる前に、適度な水分補給を行わないといけない。特にこの季節は』 しかしその休憩をも渋る瑠璃を、健康医学的な側面から説得。極めて理屈の通った説得に、瑠璃はもういかなる抵抗をも成し得なかった。 凪から手渡される、特製ブレンドのスポーツドリンク。これより前にも1リットル分を飲み干しているが、一日中山を歩き回っていた身体はやはり水分を欲していて。 渡されたカップを一気に飲んでなお、瑠璃の身体は水分とミネラルを欲していた。 (……っ、喉……かわいた……っ、けど、これ以上は……) 『はは、いい飲みっぷりだ。ほら、おかわりを淹れよう』 「……あ、ありがと凪さん……っ」 (うぅ、気が利くのがつらいぃ……) 気配りまでも一流の頼れる先輩と共に、瑠璃は暫しの休息に浸る。 その心中に、押し殺された切なる願いを秘めて。 【それから30分後】 『……ふむ、この印の次は……確かあっちか』 「……っあの、凪さん……!く、車……まだぁ……?」 『ああ、大丈夫。もう少し……おっ、あれだ』 「あ、あぁ……!」 休憩から30分。すっかり夕暮れ時を迎えた山を進み、ようやく2人は車のあるところまでたどり着くことができた。 車を見つけた途端ぱあ、と表情を明るくする瑠璃だが…… 「……ぁ」 しかしここで、大切なことを思いだした。 自分たちのいるこの山は、地元からはかなり離れた場所に位置する山。電車に長いこと乗ってやってきたここは、帰るのにも相応の時間がかかってしまう 「な、凪さん……ここから家までって、どのくらいかな……?」 『ん……今から帰るとしたら、恐らく2時間くらいか。すっかり夜になってしまうが……』 「……に、二時間!?」 『まあ……たぶんそのくらいはかかると思う。家まではちゃんと送るから、そこは安心して……』 「あ、あの!凪さん!」 「あー……えっと、その……!わたし……!」 「ず、ずっとおしっこ!したくて……二時間は……ちょっと……そ、そのへんでって……だめかな!?」 ここに来て打ち明けられる、様子のおかしかった理由。瑠璃の密かに抱えていた、排泄欲求の暴露。 確かに瑠璃が昼前にこの山へやってきて、今は夕方。ここに来るまでの移動も含めれば、軽く10時間近くはそういう暇がなかっただろう。 人間である以上避け得ない生理的欲求。その高まりを訴えるのもやむを得ない。 『……む、それは……困ったな』 『いいかい瑠璃、よく聞いてくれ。人間が山の中に立ち入るというのはそもそもが、野生動物に対して何らかの影響を与えてしまうものなんだ。特に動物は臭いに敏感なことが多いから、その臭いで人間を覚えて……慣れてしまうことだってある』 「そ、それがなんなの……?」 『人に慣れた獣はその後どうなると思う?人間はおおよそ、獣よりもいいものを食べている。バッグの中には食べ物や飲み物が入っていることも多い。そして何より……排泄物はそういったもののにおいを、最も強く反映してしまう』 『ヒトの尿に含まれているおいしい食べ物のにおいを、おいしい飲み物のにおいを覚えた獣が、それを求め出したとしたら?……アーバンベアなんてものが騒がれ出して久しいが、似たようなことになってしまうかもしれない。ただ歩くだけならまだしも、痕跡を残してしまうのは良くないことなんだ』 凪の言っていること。それはひとえに、野生と人間との折り合いの話だった。 人間の食べ物飲み物という、およそ自然界には存在し得ないもの。その痕跡を山中に残し、そのにおいを覚えた獣が人里に降りてきてしまったら…… 尿というワンクッションを置いてはいても、例えばコーヒーを飲んだ後の尿は少しコーヒー臭がするもの。とりわけ嗅覚に優れた動物であれば、あるいはもっと細かくわかってしまうのかもしれない。 もちろん懸念していることの全てが実現するわけではないだろう。だが想定されうるものである以上、避けられるなら避けた方がいいのも道理だ。この場において瑠璃は、凪のこの説得を跳ねのけられる材料を持ち合わせていない。 『途中でどこかに寄るから、それまで頑張ってくれるか?』 他に選択肢はなく、瑠璃は車に乗り込むのだった。 【さらに30分後……】 「な、凪さん……!コンビニあったぁ……?」 『……っ、うん、見事なまでに何もないな……個人商店みたいなものはときどき見るが、トイレの貸し出しをしているかは……』 絶望的ドライブへと踏み出した瑠璃だが、状況は芳しくなかった。 というのも彼女の見つけたこの山は、田舎……を通り越した秘境に限りなく近い場所。見渡す限り自然と畑といった感じの場所に、イメージしているようなコンビニエンスは存在しなくて。 特に2人とも土地勘が一切なく、帰り道のナビゲートはカーナビ任せ。その紹介してくれる道なりにそれがなければ、やはり寄ることは叶わない。 実は一本ずれた道にならそれがあるのだとしても、知らなければなんの役にも立ちはしない。 「と、といれ……ぉしっこ、したいぃ……!」 『……っも、もう少し我慢しててくれ。捜すから……』 けれどそんな2人の願いとは裏腹、この後もそういった施設が見つかることはなく…… とうとう完全に陽が落ちる19:30。2人の乗る車はなおも田舎道を疾走していた。 【さらにさらに30分後】 『……あっ!あったぞ瑠璃!あそこに、コンビニが!』 「……っっ!!?な、なぎしゃ、はやく、はやくっ、止め、……ってぇ……!」 完全に夜の帳が降りる20:00。2人はようやく、一軒のコンビニエンスストアを見つけることができた。 急いで車を止め、駆け出していく瑠璃。その後ろを凪がついていく。 だが…… 「しゅ……しゅうり、ちゅう……?」 『そ、そう……ですか……』 無情にも突きつけられる、修理中という現実。ここですることはできないという事実が、瑠璃の心にのしかかる。 顔を青くしたまま車に戻っていく瑠璃。その両手は、恥ずかしいところをぎゅっと押さえつけていて。 「……どうしよ、どうしよ、どうしよ……がまん、むり、でちゃぅ、ぉしっこ、もうむり、どうしよ、どうしよ……」 乙女の最終手段を発動しなければならないほどの事態でありながら、まだまだゴールは先にある。八方ふさがりとなった瑠璃は、血走った眼で虚空をにらむ。 ゆさゆさと両脚をゆすり、がくがく激しく上下に揺り動かして それでも少しも楽にならない尿意がじくじくと、瑠璃の乙女をいじめてくる。 コンビニを出て、田舎道を走り出した車の中。頼れる先輩の車の中で、万が一にも汚してはならない一心で瑠璃は耐える。 けれど、耐えるだけではいずれ限界が来るのは自明で。 「………………あ゛っ!!?」 「なっっぎひゃ、なぎひゃんっ!!くるまっ、くるま、とめへぇっ!!!」 『えっ!?ど、どうした瑠璃!』 「おねがいとめへええぇっ!!!も、もうれひゃぁぁっ!!?」 キキィィィィッッ!!! 「うっ…………あ、ああああぁぁぁっっっ!!!!!」 呂律さえ回らなくなりながら、それでも必死に車を止めるよう叫んだ瑠璃は…… 先輩の車を汚さないため、最後の力を振り絞って扉を開け…… ハーフパンツをひっぺがし、車の外めがけて放尿を開始した。 ぶしゅしゅしゅしゅうううぅっっっ!!!!!!びゅしししししぶしゃしゃしゃあああああぁぁああーーーーーーーーー!!!!!! シートに背中を預け、ハーフパンツを片足にひっかけ、裸の下半身を前に突き出して…… そこから極太の尿線を迸らせる、瑠璃の我慢限界オシッコ。 辺りに音源の存在しない田舎道に、その排泄音は大きく大きく響き渡っていく。 びししししいいいぃっっっ!!!!!びゅぢゃぢゃぢゃぢゃーーーーーー!!!!!! 「う゛……あ、う゛はぁぁあああ……!や……ばぃ、なんか、へんなこえ、でるぅ……♡」 「あは……あは、は、わたし、こんなにがまん、してたんだぁ……ぜんぜん、とまんなぃ……」 ぶしゅしゅしゅしゅうぅぅーーーーー!!!!しゅいいぃぃいいいいいいーーーー………… 「はあ……ぁ、おしっこ……なっがぁ……まだでるぅ……ん……んっ……♡」 ぷしゅうぅっ!!ぷしゅっ!!しゅしゅうぅっ、しゅっ…… 「はあ……あ~~~~~~………………」 お腹に力を込めて、最後の一滴までをも絞り出すように。 どこか名残惜しささえ感じながら、瑠璃は膀胱の中身を一滴残らず出し切るのだった。 そして…… 『………………………………』 「……あ!!凪さん!耳塞いでてくれたんだ…………じゃなくて!!」 ぺしぺしぺしぺし 「凪さん!!凪さん!!終わったよ凪さん!」 『……っ、あ、ああ、瑠璃……終わった、か?なら、良かった……』 「うん!おかげでちょ~~~~すっきりだよ!!さ、帰ろう凪さん」 『…………ああ!飛ばしていくぞ!』 事を終えた瑠璃は凪に声をかけ、車を出してもらう。後に残るのは、大きなひとつの水溜まり…… 「あ゛あ゛あ!!!!?犬が!犬が、アレにぃ!!!嗅ぐなバカぁ!!!!」 『……まあ、縄張り争いに必須だからな……あれの臭いは。あまり気にするな』 「無茶言わないでよぉ!!?」 残された水溜まりの臭いを嗅ぎに現れた野犬に赤面しながら、瑠璃は車に揺られて家に帰っていくのだった。 【1時間後】 「や…………っと着いたぁーー…………ありがとー凪さん!」 『……っ、ん。ところで瑠璃、親御さんにれんらくh』 ピンポーン 「……あ、そういえばしてないや。ただいまおかあs」 ゴンッ!!! 「…………っっったいなぁ!!なにすんのs」 ごつんっっ!!!! 「ぎゃんっ!!」 連絡もなく、女子学生が夜に帰ってくる。友達と遊びに行くのであれば珍しくもないだろうが、今回は山に行くということでそんな宣言はしておらず…… どう説明していいかわからないので単に「さんぽ」としか言わずに家を出て、それでこの時間に帰ってきたのだ。親の心配が翻り、痛いげんこつとなって瑠璃を戒める。 こってり瑠璃を叱った瑠璃の母は、連れて帰って来てくれた凪にいたく感謝。半ば無理矢理に凪へお茶をごちそうする運びとなった。 ぺこぺこしながらお茶を出してくる谷川家の両親。勧められるままお茶を飲まされた凪は、30分ほど拘束されてから解放されるのだった。 「あー……ごめんね凪さん。付き合わせちゃって」 『……、まあ、いいご両親じゃないか。心配、してくれてたんだろうし。お茶、おいしかったと伝えておいてくれ』 「……ん、りょーかい。それじゃあね、凪さん!」 『…………っっ、あ、ああ、おやすみ瑠璃』 「おやすみ、凪さん!」


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